365日、いつまでもふたりで
竜くんの話は、たしか3年くらい前の新聞に載っていた話だったような気がする。



「うん、知ってる」


「桃林の息子は俺の同級生でな。姉貴と政略結婚したんだよ」



どうしてか寂しそうな顔になる竜くん。



「なんかあったの?その政略結婚」


「あー……怜治(れいじ)……その友達な。怜治は学校でも公認の彼女がいたんだ。それなのに、政略結婚が決まって……彼女とは別れることになって。怜治は家に逆らうことはできないからって吹っ切ってたけど、その彼女が自殺したんだよ」


「自殺……」




お金持ちの事情はあたしにはわからないけど。
でも、自殺という言葉に胸が痛くなる。



「まぁ、俺は小さい頃からそいつのことが好きだった」


「あ……」



寂しそうな顔になる竜くんになんとなく予想はついてた。



「姉貴と怜治の結婚が決まったとき、チャンスだって1度でも思った自分がすげぇ恥ずかしくてさ」

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