365日、いつまでもふたりで
「そんなの誰だってそう思うよ……」


「あいつが自殺したってきいて、病院に駆け込んで。あいつが死ぬ前に会いたかったのは怜治のはずなのに、俺が看取った」


「そっ……か」



あたしだって過去に別れも経験しているし、失恋も経験している。

でも、ここまでの辛い失恋も別れも経験したことはなかった。
だから、その時の竜くんがどんなに苦しかったかわからない。

でも……。



「もう、人のことなんて好きになるの怖いはずなのに、あたしのことを好きになってくれてありがとう」


「茜……」



あたしならもう人のことを好きになることなんてできないかもしれない。

でも、竜くんはもう一度恋をしてくれた。
あたしのことを好きになってくれた。

それは、どれだけ尊いことなのだろうか。



「茜、こっちに来て」



後から抱きしめていた手を離して、ベッドのほうに歩いていく。

そんな、大好きな人の背中をあたしは追いかける。

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