愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
もしかしたら“ごめん”って伝えてくれようとしたのかもしれない。

「あ、そっそれよりも副社長! 契約の方は……っ!?」


副社長は麻生さんに「申し訳ありませんが、やはりそちらとは契約できません」と言って契約書にサインすることなく、麻生さんを追い返したのだ。


あれほどリバティと契約するために副社長頑張ってきたのに……。また自分のせいで彼に迷惑をかけたかと思うと、泣きたくなる。

けれど副社長はなぜかニヤリと笑った。

「あぁ、それは大丈夫。ちゃんと契約は結ぶことになっているから」

「え?」


すると副社長は悪い顔をして愉快そうに話し出した。

「緒方社長に事情を話したら協力してくれたんだ。……お気に入りのお前を傷つけた社員に、しっかり制裁してくれって頼まれたしな」


そうだったんだ。そうとは知らず契約書をもらえず戻っていった今の麻生さんの気持ちを思うと、居たたまれなくなる。――でも。


「あの……本当にご迷惑おかけしてしまい、申し訳ありませんでした! おまけに余計な手間までかけさせてしまって……」
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