愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
咄嗟に手にしていたスマホで着信履歴を確認すると、副社長と紗枝が交互に何度か電話をかけてきてくれていた。

「すみません、ずっと寝ていて気付きませんでした」

謝ると副社長は首を横に振った。

「いや、構わない。……無事でよかったよ」


心底安心したように微笑む彼に、胸が鳴ってしまう。それと同時に思い知らされる。やっぱり私は副社長のことが好きだと。


「ありがとうございます。……あの、副社長はもう大丈夫なんですか?」

「あぁ、お前のおかげで。……金曜日は悪かったな。今日お前が休んだのも、俺の風邪が移ったからか?」

申し訳なさそうに眉尻を下げた副社長に手を左右に振った。


「いいえ。違います! これは完全なる自分の不注意でして。あ、でももうすっかり良くなったので」

元気ですアピールをすると副社長は肩を落とした。

「そうか。……元気になったならいいか? 家に上げてもらっても」

「……え」

突然の申し入れにドキッとしてしまう。家に上がる? 副社長が?

「もう少しお前と一緒にいたいから」

ボソッと囁かれたセリフに、目を丸くさせてしまった。
< 235 / 319 >

この作品をシェア

pagetop