愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
入社当時はまさかこの私が副社長の秘書になって、彼を好きになって。気持ちを通わせることができるとは夢にも思わなかった。


ずっと恋愛なんてできない。こんな私では幸せになれないと思っていたけど……私でも幸せになれるよね? 彼となら。

ゆっくりと離される身体。愛しそうに目を細める彼に胸が高鳴る。

近づく距離にゆっくりと瞼を閉じた時……。

「菜穂美……」

初めて下の名前で呼ぶだなんて。なんてズルイ人だろうか。


キスが落とされるのをジッと待つものの……タイミングバッチリに鳴り出した副社長のスマホ。

目を開けると、副社長は苛々した様子でポケットからスマホを取り出した。

そして電話の相手を確認すると舌打ちしながらぶっきらぼうに出た。


「なんですか、父さん。今父さんと話している暇はないのですか。くだらないことでしたら怒りますよ?」

ギョッとしてしまう私を余所に、副社長の表情は険しさを増すばかり。

けれど最後に彼はとんでもないことを言って電話を切った。

「父さん、早く孫の顔を見たいならおとなしくひとりで出張へ行かれてください。俺は絶対に行きませんからね」


ま、孫!? 副社長ってば今、孫って言ったよね!?

目を見開き驚く私に副社長はニヤリと笑って言った。「もちろんそう遠くない未来の話だろ?」って。

             END
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