愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
地下駐車場にはふたりの遠ざかっていく足音が響き、次に車の鍵を解除する音、ドアが閉まる音。……そして車のエンジン音と走り去っていく音が順番に届いた。

次第に遠ざかっていくエンジン音。シンと静まり返った地下駐車場に、私の大きな溜息が零れた。

「……これでよかったんだよね」


大事な取引先の方だし! それに和幸くんのこと信じているし!! ……とはいえ、さっきふたりはキス、しちゃったんだよね。

トボトボとした足取りでエレベーターに乗って一階まで上がり、正面玄関を抜けて最寄り駅を目指していく。


あの時、和幸くんのそばにいたけど佐川さん……明らかにわざと和幸くんにぶつかってきた。

倒れ方が妙だったし、無理やり和幸くんの唇を奪ったようにも見えたし……。

当時の情景が頭に浮かんでしまい、慌てて首を左右に振った。


もう思い出さないようにしよう! 好きな人が事故とはいえ、自分以外の人とキスしちゃったところなんて、覚えていたって良いことなんてひとつもない。
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