愛され任務発令中!~強引副社長と溺甘オフィス~
「そうそう! だから気負うことなく、今のままのキミで勤務に当たってほしいんだ。……欲を言えば、ぜひともあいつを振り回して慌てふためく姿を見せてほしい」


最後にニヤリと笑いながら言った代表。

ちょっと待って。まさかそれが本音じゃないですか? そう疑ってしまったけれど……。


「代表の戯言はお気になさらず。……少なくとも私は小山さんは副社長のパートナーとして最高の人材と思っておりますので、どうかお引き受けくださると嬉しいです」

「田中さん……」

田中さんのことは疑う余地などない。


それは普段の仕事ぶりからはもちろん、なにより失礼ながら我が社では代表より、田中さんに対する信頼感は絶大だと思うから。

私だってそのうちのひとりだ。


常に冷静で仕事は完璧。そこは副社長と同じかもしれないけれど、田中さんは彼とは違う。

さり気なく社員に声を掛けてくれたり、気遣ってくれたり、労いの言葉を掛けてくれたり。


先輩の話では昔はなにを考えているか分からない人だったらしい。でも結婚して父親になったのをきっかけに、少しずつ話しやすい人になっていったとか。


とにかく田中さんは社内で一番信頼できて、尊敬できるって思っている人が多い。
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