ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
思惑通りにならない…
やり方を間違えたと焦り、離れた美姫の腕を掴んでいた。
そして、
『俺は、お前が気に入ったから口説いてる』
必死だった…
自分のものになるはずだったものが、後手に回った事で先に取られ、悔しさから取り返したいという自分勝手な思い。
好きだとか愛してるからだとか、そんな感情じゃない。
ただ、この女がほしかった…
だから、軽薄な言葉しかでてこない。
そんな言葉に女の心が動くはずもなく、拒絶されるのは当たり前だった。
しかし、拒絶しながら、美姫の言葉には何か峯岸を試している気がしてならない。
『…あなたぐらいかっこいい人なら女が寄ってくるでしょう⁈私じゃなくてもいいじゃない』
まるで、「お前がいいんだ」と言ってほしく聞こえる。
このまま強引に口説かれたいのか口説かれたくないのか美姫の心がわからず、苛立つ。
つい、乱暴な言葉を吐いてしまっていた。
お前は、どうされたいんだ?
『俺は浜田と仲良しをするつもりはない。気に入った女が、同期の女だったってだけだ。浜田の女でいたいならいればいい。俺は構わない』
峯岸は正直な気持ちを美姫に告げた。