ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜


それなら少し背中を押してやれば頷くのでないのか⁈


『浜田にばれなきゃいい』


そうだ


ばれなきゃ問題ないはずだ。


だが、それでもまだ、頷かない女。


何を迷う?


あと一押し何かが足りないらしい…







「峯岸さんに惹かれているのはバレてるよね。だから、そんなこと言うんだよね…でも、私、浜田さんを裏切れない。……ごめんなさい」


美姫の返事が予想外の答えだったらしく、言葉が出てこないらしい峯岸は、表情を険しくさせた。


心は今も揺れ動いている。


諦めないでほしいと思ったのも…


もっと、強引にきてほしいと思ったにもかかわらず、踏み込む勇気がないからだった。


「…わかった。潔く諦めるから安心しろ」


峯岸の腕の中から解放される。


離れた距離に寂しさが募り、無意識に峯岸のスーツの裾辺りを掴んでいた。


目を見開き驚く男と視線が重なる。


「…お前は一体どうしたいんだ?」


スーツの裾辺りを掴んでいた手を掴み、また美姫を引き寄せ抱きしめた峯岸。


「わからないの…浜田さんを裏切れない気持ちはあるのに、峯岸さんと、このまま別れたくない。高校生の頃ずっと峯岸さんが好きだったの」



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