ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜

そして、お互いの息が整ってきたら、また熱を孕んだキスを仕掛けてきた男に夢中に応えると、キスしたまま抱き上げ数歩でたどり着いたベットの上に寝かせた。


膝をついて美姫を跨いだ男が、乱れていた髪をかき揚げ、スーツの上着を脱ぎシャツのボタンを1つ、2つと外す姿に見惚れてしまう。


あぁ、やっぱりこの男しかいない。


心も体も、目の前の男を求めているのだ。


スラックスの後ろのポケットから出した財布、その中から出した半透明な四角いパッケージを枕元に置いた峯岸を見て、遊び慣れていると小さく心が痛んだが、「美姫」と名を呼びながら頬を撫でる手がその痛みを取り払ってしまう。


ずるい…


小さな痛みも好きだと変換される。


だが、好きだと言えない関係に苦しくなる。


すると


「蒼斗だ…俺に抱かれる時は下の名前で呼ぶんだ。その方が普段と違って背徳的だろう?」


「…そうだね」


愛しい人の名前


だが、それさえもこの男は背徳を楽しむ為に利用する。


峯岸さんから蒼斗に呼び方が変わるのに、この関係は何も変わらない…


ただ、快楽を求め、背徳という誘惑に身体を繋げる男と女でしかない…

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