ずるい男 〜駆け引きは甘い罠〜
そう思わなければならないのだ。
好きだと言ってはならない。
言った瞬間、この男の熱は冷めて離れていくだろう。
だから…
「蒼斗」
と、呼ぶことで好きだと告げる。
甘く漏れる声も…
吐息さえも…
伝わらない声を上げる。
達しそうになる度、指を絡めてぎゅっと握り好きを届ける。
何度も「蒼斗」と愛しくせつなく呼ぶ。
伝わらない
伝えてはいけない
好きの代わりに蒼斗の唇に唇を重ね届けた。
*
我を忘れ、夢中に女を抱いたのは初めてだった。
美姫に蒼斗と名前を呼ばれ、好きだと言われているような感覚になる。
甘い吐息も
溢れる声も
達しそうになる度、ぎゅっと握ってくる小さな手も
何度も潤ませた目でせつなく見つめ、蒼斗と呼ぶ声も
好きだと言われてる気がして、体が熱く気持ちが昂ぶり冷静さを忘れていた。
ベッドの上に置いた1枚の四角いパッケージがなくなっても止められないほど、愛しくて美姫の体を夢中に何度も抱いてしまった。
狭いベッドで峯岸に擦り寄り寝息をたてる美姫を見ながら俺らしくないと自嘲する。
女を抱いてても、どこか冷めていた自分はどこにもいなかった。