神木部長、婚姻届を受理してください!
私は、ごくごくと、喉に柚子サワーを流し込んだ。意外と飲みやすく感じた私は、気がつけばすでに半分は飲み終えていた。
「立川ちゃん、良い調子じゃないか」
実は、意外と飲めるんじゃないかい? という田口さんの一言に、そうかもしれないな、なんて思ってしまうほど、本当に今日の私は調子が良いみたいだ。
段々浮いてくる気持ちと共に表情筋が解れ、へらへらと笑いながらそんな事を思っていると、凄い勢いで私達の元へ香織さんが戻ってきたのが視界に入ってきた。
「ちょっと、沙耶ちゃん⁉︎」
香織さんはこちらへやってくると、目を丸く開きながら大きな声を出した。
「香織さん、お帰りなさーい」
「こら、〝お帰りなさーい〟じゃない。あんた、これ、お酒でしょう? ちょっと、田口さん。沙耶ちゃんに何吹き込んだんですか」
どうなってんのよ、と少し呆れているような表情の香織さん。私は、そんな香織さんにドリンクのメニューを差し出した。
「香織さん、大丈夫です。これは、部長に一歩近づくためなんですから。それに、私今日は調子が良いみたいなので大丈夫です!香織さんも飲みましょう!」
「部長に一歩近づくため? ちょっと。沙耶ちゃんは何を言ってるのよ。大体、あんたはいつもそうやって言ってるけど……」
「あ、すみませーん!ぶどうサワーと、ビールをお願いします!」
香織さんの言葉を遮り、近くの店員さんに声をかけた。注文を終えると、私は柚子サワーの残りを一気に喉へ流し込んだ。