神木部長、婚姻届を受理してください!
「ちょっと、沙耶ちゃん」
「大丈夫です大丈夫です!」
心配する香織さんをよそに、私は運ばれてきたぶどうサワーをまた喉に流し込む。
飲んでいくうちに、段々ふわふわした感覚になり眠気と少しの頭痛を感じてテーブルに顔を伏せた。
いつもより調子が良いと感じたとはいえ、少し調子に乗りすぎただろうか、と思っていると、テーブルに左耳を当ててうとうとしていた私の視界から飲みかけのぶどうサワーが消える。そして、オレンジジュースが代わりに置かれた。
「あ、私のお酒……」
オレンジジュースに移り変わってしまったぶどうサワーの行方を辿るように顔を上げる。すると、そこには、私のぶどうサワーを片手に立っている神木部長がいた。
「こら。お酒はもうそこまでにしておきなさい」
「ええ!やだ!嫌です!返してください!私も、神木部長と一緒にお酒飲みたいです」
私は即座に立ち上がり、神木部長の手からぶどうサワーを取り上げようと試みる。だけど、私より15センチは背の高い部長から奪い取るのはどうやら無理そうだった。