神木部長、婚姻届を受理してください!
「別にお酒じゃなくても、オレンジジュースを一緒に飲めばいいだろ」
「オレンジジュースじゃダメなんです!返してください」
頬に空気を溜め込み、神木部長を少し睨みつけるように見る。だけど、神木部長はそのぶどうサワーを離すことはない。
「返しません。いい加減諦めなさい」
「嫌です!諦めません!」
聞き分けの悪い私に、神木部長は呆れた表情を浮かべて溜息をついた。そして、目の前の田口さんと目を合わせた。
「田口さん、何か立川に悪いことでも吹き込みました?」
「いや、僕はアドバイスをしただけですよ。部長はお酒を飲まれるから、同じくらいお酒を飲めれば好かれるんじゃないか? ってね」
ビールジョッキを片手に笑う、頬を赤く染めた田口さん。そんな田口さんの返答を聞いた部長は、また小さく溜息をついた。
「参ったな」
部長はそう呟いて髪をかき乱すと、少し席を離れていたらしい香織さんを呼び寄せた。
「立川に、とりあえずオレンジジュース頼んで置いておいたから。これ飲ませて、もう今日はお酒飲まないように見ておいて」
「分かりました。ありがとうございます。今日は、私じゃ手におえなかったので助かりました」
「はは。それは良かった」
ゆっくりとその場に腰をかけ、私の側で立ち話をする二人を見上げる。私は、そんな二人の会話を横耳に睡魔から瞼がどんどん降りてくるのを必死に耐えていた。しかし。