今年の夏もキミを想う…。
「ほんと、高知先輩ってばやることが子供っぽいんだから」
「確かに……あれはちょっと、怖かったです」
思わず悲鳴をあげてしまったことがよほど悔しかったのか、怒りも顕に階段をのぼっていく和果子を、柚花が必死で追いかける。
「でも、あの……そういうところも、ちょっと、可愛いかなって」
ぽそりと呟かれた柚花の言葉に、ようやく和果子が歩調を緩めて振り返る。
その顔に浮かぶ意味ありげな笑みに、柚花がハッとして赤くなり、オロオロと視線をさまよわせてから俯く。
「柚花ちゃんはさ、好きな人とかいる?」
「えっ!あっ、えっと……その」
あからさまなその質問に、柚花は顔を上げたかと思えばまたすぐ俯いて、耳まで真っ赤にしながらもじもじする。
その姿に、和果子はクスリと微かに笑みをこぼす。
自分も大概意地が悪いことはわかっているが、真っ赤になっておどおどしている柚花の姿が可愛すぎて、ついそんな質問をしてしまった。