今年の夏もキミを想う…。
「……それ、主人公の親友が黒幕だよ」
怒りを込めてぼそっと放った一言に、宮崎は勢いよく顔を上げた。
「なんで先に言うんだよ!!」
ようやく顔を上げた宮崎に、一瞬彼女の表情が華やぐが、直ぐにハッとして再び顔を引き締める。
「あとね、そのヒロインだけど、実は彼女は……」
「ああー!わかった。わかったから、もう何も言うな!!」
真顔でネタバレしようとした彼女を、宮崎は慌てて遮る。
言われた通り口は閉じたが、何かを訴えるようにじーとこちらを見つめる彼女の視線に、宮崎は仕方なさそうにため息をついて漫画を閉じた。
「わかった。外に遊びに行けばいいんだろ」
「うん!」
諦めたような宮崎の言葉に、彼女が嬉しそうに頷く。
「じゃあ、気が変わらいうちに」
いそいそと立ち上がった彼女に腕を引かれ、宮崎も渋々と腰を浮かせる。
「今日はね、桜のブランコの気分なの」
「桜のブランコって……あそこまで行くのか?」