今年の夏もキミを想う…。


「あれってこんなに酔えるものだったのか……?」

「あたしも初めて見た。あれで酔う人……」


茫然とする二人の前で、高知は尚も楽しげにニマニマしている。


「まるとさんかくをたしてにでわったら、まるさんかくー。へへ……」

「二で割ってないじゃないですか……」

「突っ込むところはそこ!?」


危うく高知のおかしなテンションに呑まれかけた宮崎は、和果子の鋭いツッコミにハッとして我に返る。

その様子に呆れたようなため息をついて、和果子が立ち上がった。

宮崎の皿と紙コップも一緒に、自分の分を絶対に高知の手が届かない安全圏まで避難させてから、尚もへへ…ふへへ…と怪しげな笑い声を漏らしている高知と、その隣で嫌そうな顔をしている宮崎を見下ろす。


「とりあえずお水持ってくるから、それまでちゃんと見てて」

「おっけー!まかへて」

「先輩に言ってるんじゃありません……」


「なるべく早めに頼む」とこぼして、疲れたようなため息をつく宮崎を残し、和果子は水を取りに駆けていった。
< 81 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop