今年の夏もキミを想う…。

ぱあっと顔を輝かせて、しかし直ぐに恥ずかしそうに俯いた柚花が、コクっと頷き返す。


「よし、じゃあ場所を交換しよう」


高知の体を腕で支えつつ、その下から宮崎が抜け出すと、すかさず柚花がその隙間に体をすべり込ませる。

最後まで支えていた頭を、宮崎がそっと柚花の肩に乗せ、一連の交換作業が素早く完了すると、何も知らない高知は未だすやすやと寝息を立てていた。


「なるべく早く代わるから」

「いえ、ゆっくりで……全然、大丈夫です」


柚花のぽそぽそとした声を聞きながら、その場で野菜をかきこもうとしていた宮崎は、後ろからスパンと勢いよく頭を叩かれて手を止める。

振り返れば、いつからそこにいたのか、呆れ顔の和果子が立っていた。


「あんたね、気が利かなすぎ」

「なんのことだよ。てかお前、力入れすぎ」
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