今年の夏もキミを想う…。
宮崎の抗議の声をさらっと無視して、和果子が柚花に微笑みかける。
「柚花ちゃん、さっきはお水届けてくれてありがとう。あたし達、何か飲み物取ってこようと思ってるんだけど、柚花ちゃんは何がいい?」
「えっ?あっ、えっと……」
おどおどと視線を彷徨わせた柚花は、しばらくして遠慮がちに和果子を見上げる。
「レモンのジュースを……お願いします」
「了解」
二人の会話の最中に野菜を食らおうとしていた宮崎の襟元を引っ掴んで、和果子は引きずるようにして歩き出す。
「なんで俺もだよ」
「だからあんたは気が利かないって言ってんの」
意味がわからないままに引きずられていく宮崎と、明らかに気を利かせてくれた和果子を見送って、柚花は眠りこける高知にそおっと視線を移す。
すぐ近くにある無防備なその寝顔に、自然と頬が緩んだ。
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