俺様ドクターに捕獲されました

｢それで、今、看護部長にも話してるんですけど、アロマセラピーを本格的にケアに導入しようとしてるんです。だから、天野さん、ぜひご指導をお願いしますね｣

｢あ、そっちもだけど……私、天野さんのマッサージ受けてみたいな。お店の場所とか教えてもらってもいいですか？｣


ああ、私、この道を選んでよかった。それに、看護師としての三年の経験も決して無駄ではなかった。


あのもがき苦しんだ三年があったから、今の私があるんだ。


ようやく心の奥にずっとあったわだかまりがなくなって、満面の笑顔を彼女たちに向ける。もう、引け目もなにも感じる必要なんてない。


今の自分に、自信を持とう。


｢はい、ぜひ！｣


彼女たちの言葉に力強くうなずきながら、彼の不敵な笑顔が頭に思い浮かぶ。


早くこのうれしすぎる出来事を、｢実力で認めさせろ｣と彼なりのやり方で励ましてくれたあの人に伝えたい。


だけど……。


｢はい、はい。仕事の話はそこまで。俺も、一回ゆっくり天野さんと話したいと思ってたんだ｣


抱き合っていたふたりを思い出して、沈んでしまいそうになっていた私を、その声が現実に引き戻した。


いつの間にか隣に座っていた人が、私の顔を覗き込んでニコッと爽やかに微笑む。