俺様ドクターに捕獲されました


「ひどいな、自分の彼氏をクセ者扱いして。ま、否定はしないけど」

「俺も、否定はしない。ねえ、今日のこと優に言ってあるの?」


苦笑いをしながらそう聞いてきた菅谷先生にフルフルと首を横に振る。


「用事があるから、先に帰るとは連絡しました。だいたい、あの人にいちいちお伺いをたてる必要もないですし」

「……へえ。ま、いっか。せっかく来たんだから、飲もう、飲もう。なににする?」

ムスッとする私に、含みのある笑みを浮かべた菅谷先生はメニュー表を差し出した。そのなかから、甘めのカクテルを選んで注文する。


「里衣子は、お酒いけるの?」


莉乃の質問に、首を横に振る。お酒は嫌いではないけれど、あまり強いほうではない。


だけど、今日はーー。


「ううん。あんまり強くないんだけど、今日はちょっと飲んじゃおうかな」


うん、もう嫌なことはお酒を飲んで忘れちゃおう。そう決めて乾杯したあと、注文したお酒を口に含む。


「んー、おいしい」


フルーティーな味のそのカクテルはジュースみたいで飲みやすく、とてもおいしい。


「こっちもおいしいよ。一口飲む?」

「え、いいの? ありがとう。あ、これもおいしい。今度、これにしようかな」

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