俺様ドクターに捕獲されました
「ここ、料理もおいしいんだよ。おすすめは唐揚げと生ハムとクリームチーズのカナッペ。出し巻き卵もおいしいし、牛すじもとろけちゃうくらい柔らかくてねー。あとこのサラダもねー」
「ほぼ全部じゃん。莉乃、食い意地張ってるもんな」
「うるさいなー。おいしいんだもん、いいじゃない。里衣子、食べて、食べて」
そう言って、莉乃は私の皿にたくさんの料理をのせてくれた。それ以上に自分の皿に多く料理をのせていて、笑ってしまう。
おいしそうに料理を頬張る莉乃を、井坂さんが優しい目で見つめていることに気がついて、それを少しうらやましく思った。
「仲いいねー、君ら。付き合ってどのくらいだっけ?」
「一年ちょっとですね。なんですか、先生。うらやましいんですか? すみませんね、幸せで」
「お前、本当に嫌な奴だね。なんでだろうねー、井坂くんにしても優にしても。こういう男に限っていい子が騙されるんだよなぁ」
「その持論だと、菅谷先生にもいい子が騙されているはずなんですけどねー。かわいそう」
「うるせぇな。なかなか騙されてくれねぇんだよ」
「ふふ。唐揚げおいしいね、里衣子」
おいしい料理に舌鼓をうちながら莉乃といろいろな話で盛り上がっているうちに、どうもピッチが早くなってしまっていたらしい。