俺様ドクターに捕獲されました


「褒めてるんだけどな。それに、こんなふうに素直に身体を預けちゃって。天野さんは男ってやつをわかってないよね」


ふっと笑った菅谷先生が、私のことを抱きしめる。なぜだか、まったく嫌な気持ちはしなかった。


むしろ、安心するかも。この感じは……。


「誘われてるって、思っちゃうよ? 危なっかしくて、優が過保護になるのもわかるな。まあ、そうしたのも優なんだろうけど」

「だって、菅谷先生は私になんの感情も抱いてないでしょ? それに、先生、ちょっとうちの兄に似てるのでなんか安心します」


そう、菅谷先生はなんとなくお兄ちゃんに似ているのだ。かわいい顔して、性格に難ありなところとかよく似ている気がする。


「……ふっ、あははは。お兄ちゃん、ね。そうだね、たしかに天野さんのことは異性として見てないな。俺、好きな子いるし。優とも良好な関係でいたいからね。しかし、あいつ……大事なこと伝えてないんだね」


笑いながら、菅谷先生は肩をすくめる。くっついていても不快感を感じないのは、お兄ちゃんに似ているのと、腰に回った手にいやらしさがないからだ。


「だからって、そんな素直に抱きしめられてるのはどうかと……っと。やばい、ちょっと天野さん離れて」

「へ?」


何事かと首を傾げる私の腰から、菅谷先生は手を離した。

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