俺様ドクターに捕獲されました
「わー。里衣子ちゃん、それすごい熱烈な告白。で、優さん? 女王様と抱き合ってたって本当なわけ?」
「そんなわけあるか。あれは、転びそうなのを支えたら勝手に抱きついてきたんだ。病院であんな凶器みたいなヒール履きやがって。こんなことなら放っておけばよかった。自分の反射神経が憎い」
「やっぱりな、そんなことだろうと思った。でもさー、優、ずいぶん信用ないね。なんか里衣子ちゃんの思ってる優のイメージと俺の知ってる優が大分違うんだけど」
「それは、あの悪魔のせい。本当に、タチの悪いシスコンだ。……あー、もう無理。耐えられん」
「きゃあっ!」
いまだに菅谷先生にひっついていた私の身体を、彼が強引に引っ張って抱き上げた。いつかのように米俵のように抱き抱えられて、思わず彼の肩にしがみつく。
「悪かったな、亮太。りいに触れたことと、泣き顔を見たことは特別に許してやる。他に見たやつは?」
「それはどうも。泣きそうになってすぐ連れ出したけど、どうだろう。何人か見てたかもね」
「そいつらの記憶消しとけ。口説こうとしたバカはいなかったろうな?」
「無茶言うなぁ。俺が邪魔したから未遂。だから感謝しろって言っただろ?」
「未遂でも気に入らないけどな。でも、今はそれよりもりいの誤解を解くことのほうが大事だ。じゃあな、亮太。あとは頼んだ」
「了解。はい、里衣子ちゃんの鞄」