俺様ドクターに捕獲されました
「俺じゃない。まあ、結果的にお前に寄りつく男を排除してたのは俺だが。尊のやつ、それも見越して俺に情報を流してたんだろ。俺だって、相当邪魔されてきた」
「う、うそ! だって、再会したときあっさり……」
「そういう約束だったからな。お前が俺の前からいなくなったとき、探したり無理に会おうとするなって尊に言われたんだ。だから、逆にもし偶然に再会したときは一切邪魔するなと約束した。まあ、あまりにあっさり引いたから俺も驚いたけどな。それより……」
彼が私との距離を詰めてきて、長年のくせでついつい逃げ腰になってしまう。それを許さないとばかりに、彼の腕が私の腰を強く引き寄せた。
「逃げるな。あのな、俺がいつも違う女を連れてたのって、俺が中学三年の頃だよな。それは、尊が俺のことを好きだっていう女どもに余計なことを吹き込んだからだ。俺、モテるだろ? でも、ずっと好きな女がいるからって、告白されても片っ端から断ってた。そしたら尊が、俺が振った女たちに一回だけならデートしてくれるとかふざけたことを言いやがって」
そのときのことを思い出したのか、彼は苦虫を噛み潰したような顔でため息をつく。