俺様ドクターに捕獲されました
「好きでもない女とデートなんて嫌だって言ったのに、なら下校の時間だけでもって押し切られて。ひとりしたらもう収集つかなくなって。本当、地獄だった。あいつ、りいにも説明しとくって言ったんだぞ。お前はなにも言わないし、尊に聞いて納得してるのかと思ってた。他の男と仲よくしようとするのも、それに対する当てつけかと」
「なっ! ち、違うから。だって、優ちゃんの特別じゃないと、思ったから……」
「そんなわけないだろ。りいは、ずっと俺の特別だ。なあ、りい。さっきのもう一回言って」
「さっきの?」
なんのことかと首を傾げる私に、彼はコツンと額をぶつけくる。なんだろう、彼をまとう空気が、今までになく甘い気がする。
「俺のもの扱いするなら、優ちゃんも私のものになってって」
ニヤニヤしながら顔を覗き込まれて、顔がかあっと熱くなる。
え、私……そんなこと言ったの? 全然記憶がないんですが。やだ、お酒って怖い。
「なあ、りい……言えよ。ちゃんと言えたらお前のものになってやる」
相変わらず俺様だ。上からなもの言いに呆れながらも、こういう彼を好きになってしまったのだから仕方がない。だけど、このまま彼の思い通りになるのはなんだか癪だ。
「……言わない。優ちゃんだって、言ってくれたことないじゃない。一度だけでも言ってくれてたら、こんな……」