俺様ドクターに捕獲されました
唖然としている私を、満面の笑みを浮かべた彼が抱きしめてくる。
「これなら、もう抱きしめてもいいだろ?」
「だ、だからって……こんな」
「もう一秒も待てない。なあ、りい。俺は言ったんだから、お前も言えよ。俺のこと、好き?」
「……き。好き、だよ。私だって、ずっと優ちゃんのこと好きだった。だから、他の人の隣で笑ってる優ちゃんなんて見たくなかった」
「うん、ごめん。りいも同じ気持ちでいてくれるのはわかってたから、言わなくても伝わってるものだと思ってた。ごめんな、もう少し早くちゃんと言ってればよかった。俺には、ずっとりいだけだ。昔も、これからも。ずっとお前のものでいてやる」
彼の言葉に、また涙がこぼれ始める。絶対にひどい不細工な顔をしているはずなのに、彼は愛おしげに目を細めて溢れた涙を親指で拭う。
「私、意外と嫉妬深いよ」
「お互い様だな。俺のほうがひどいだろ」
「今まで我慢してたから、たくさんわがまま言って優ちゃんのこと困らせるかも」
「りいのわがままならなんでも叶えてやる。むしろ、大歓迎だ」
欲深い私は、まだ不安で仕方なくて、彼からの言葉が欲しくて、そんなかわいくないことばかり口にしてしまう。それを彼は、全部受け止めてくれた。
それでも足りなくて、私はすがるように目の前にある彼の真っ黒な瞳を見つめる。
「もう、あんなふうに他の人に触れさせないでくれる?」
「ああ、触らせない。りい、かわいい。やっと、俺のだ」
ぎゅっと私を抱きしめる彼に、私も抱きつく。
今まで許されないと思って、してこなかった行為。これからは、堂々とこうできるのだと思うとうれしくてたまらない。