俺様ドクターに捕獲されました
「くそ、邪魔だな、このバスタオル。素肌で触れ合いたかったのに」
その条件は三つ。私が嫌なことはしない、なるべく見ない、バスタオルを巻いていい、だ。その条件をしぶしぶ受け入れてくれた彼は、ブツブツと文句を言いながら首筋にキスをしている。その動きが、ふいにピタッ止まった。
「ネックレス……どうした? 外したのか?」
指摘されて、ハッと胸元を押さえる。そういえば、病院を出るときに怒りに任せて外したんだった。そんなのすっかり忘れてた。
「ご、ごめんなさい。病院出るとき外しちゃった。ちゃ、ちゃんと財布に入ってるよ」
「……またつけて」
「え?」
ペットが首を外すなと罵られるのではないかと身構えていた私は、ポツリと呟かれた言葉に振り返った。だけど、彼は私の肩に顔を埋めてしまいその表情は見えない。
「怒ってないの?」
「怒ってない。俺が悪いし……。でも、またつけて。もう首輪なんて言わないから。恋人の証として、つけてて」
「ゆ、優ちゃん? ど、どうしちゃったの?」
「お前、本当に俺をなんだと思ってるんだ。不安なんだよ。やっと捕まえたのに、またりいに逃げられたらと思うと怖くてたまらない」
ぎゅうっと抱きしめられて、胸がズキッと痛む。そうだよね。いくら行き違いがあったとはいえ、私は彼にひどいことをした。