俺様ドクターに捕獲されました
「優ちゃん、いつから私のこと好きだった?」
「りいが生まれた瞬間から。さすがに覚えてないけどな、一目見て『優の』って生まれたてのりいに飛びついたらしい。物心ついてからは、ずっとりいをお嫁さんにするって言い続けてたしな」
「私も、気づいたときには優ちゃんのことが好きだったよ」
彼の頬に自分から擦り寄ると、彼は眉尻を下げて困ったように笑った。
あれ、こんなふうに笑う人だったかな。私を見る彼の瞳があまりにも優しくて、急に胸がドキドキしてくる。
「知ってる。そうじゃなきゃ、困る。でも、りいは危ないからな。逃げるし、花屋の勝と結婚するなんて言ったりするし」
「え? そんなこと言った?」
「言ったよ。勝と結婚すれば花屋さんになれるかなって、無邪気に。だから、看護師になれって言い聞かせたんだ。そしたら、医者になる俺と結婚するって言ってくれると思って。ま、言ってくれなかったけどな」
耳元で恨めしげな声を出されて苦笑いする。ずいぶん遠回りをして待たせたせてしまったから、いろいろ溜まっているみたいだ。
そういうことも、ひとつずつ受け止めていけばいい。これから先、時間はたくさんあるはずだから。
「もう大丈夫だよ。ずっと優ちゃんのそばにいる」
彼が“好き”と言ってくれたから。それだけで、私は……。