俺様ドクターに捕獲されました
「えー、優が二番? じゃあ、俺は?」
唐突に聞こえたその声に入口のほうに顔を向けると、思いもよらない人物がカーテンの向こうから顔を出した。
「げっ!」
「あら、尊くん」
「お、お兄ちゃん」
「里衣子! 久しぶり!」
スーツ姿のお兄ちゃんは、病室の中に入ってくるとガバッと私に抱きついた。大人になってからはほとんどしていなかったハグに、思わず面食らう。
「あ、てめ。りいを離せ」
「相変わらず優は心が狭いなぁ。里衣子、いじめられてないか?」
「いじめてねぇよ。離せ、このシスコン」
彼がお兄ちゃんから私を引き離して自分の方に引き寄せる。その腕に、とてつもない安心感を覚える。
まだ恋人同士になって一週間しか経っていないのに、彼の少し低めの体温が自分に馴染んでいることにすごく驚いていた。
「言っとくけど、俺はシスコンじゃない。かわいい妹だとは思っているが、里衣子にくっつくのはお前へのいやがらせだ」
「余計タチ悪い。相変わらず、性格最悪だな」
「優にだけは言われたくない」
「あらあら。ふたりとも大人になっても変わらないわねぇ」
言い合うふたりを見ながら、おばちゃんがクスクスと笑う。
「おばちゃん、俺はもう立派な大人だから。優がガキのままだから合わせてやってんの。で? なに、付き合い始めたの?」
「誰がガキだ。ああ、やっと恋人になった」