俺様ドクターに捕獲されました


「ありがとう、里衣子ちゃん。ありがとう。優くんと里衣子ちゃん……少し離れてた時期があるんでしょう? 優くん、一時期とても塞ぎ込んでいたから。まるで半身をなくしたように、ずっと寂しそうで今にも壊れてしまいそうだった。でも、もう大丈夫ね。里衣子ちゃんがそばにいてくれるから」


私の手を握るおばちゃんの手を、そっと握り返す。大丈夫だと、安心させたくてその手を親指でさする。


「今日はいい日ね。久しぶりに優くんと尊くんの掛け合いも見れたし。あのふたりは本当に変わらないわね。男の人って何歳まで経っても子どもなところがあるから。大変なこともあるだろうけど、優ちゃんを操縦できるのは里衣子ちゃんだけだから」


「ふふ、そうかな?」


「そうよ。たいていのことは、里衣子ちゃんが優くんに甘えれば許されちゃうわ。上目遣いに見上げて、かわいくお願いすればきっとなんでも聞いてくれるわ。上手に操縦しなさい」

「うん、やってみるね。おばちゃんも旦那さんにやってたの?」

「もちろんよ。いい、里衣子ちゃん。こうやってやるのよ」


おどけて実践して見せてくれるおばちゃんに、声をあげて笑う。親子以上に、年の違うおばちゃんとの楽しい女子トークは、とても楽しかった。


そして、それがおばちゃんと交わした最後の会話になった。

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