俺様ドクターに捕獲されました
「……優ちゃん、タバコやめようか」
「ん? 匂いする? 家に帰ってきてからは吸ってないけどな」
「ううん、匂いはしない。でも、唇が冷たい。お医者さん、タバコの害は知ってますよね?」
「……痛いとこつくな。もう少ししたらな。じゃあ、りいがあっためてよ」
「うん、いいよ」
ちょっと意地悪な顔でそう言った優ちゃんに、私はなんのためらいもなくうなずく。それから耳に手を伸ばして、それをグルグルと回し始める。
「おい、りい。これはなんだ」
「耳のマッサージ。耳を動かすだけでも顔の血流がよくなるんだよ」
「そういう意味じゃなかったんだけどな。まあ、いいや」
ふっと柔らかく笑った彼が、私ことを抱き寄せる。恋人同士になってから、こういう優しい笑顔をよく見せてくれるようになった。
それを見れるのは私だけの特権な気がして、幸せな気持ちでその胸に顔を埋める。
「りいは、あったかいな」
「優ちゃんが冷たいんだよ。本当に不健康なんだから」
「それはりいのせい」
「だから、なんで私のせいなの? ……て、寝てるし」
私を抱きしめている彼から、規則正しい呼吸が聞こえる。穏やかな顔で眠る彼の身体を、ぬくもりを分けるように抱きしめる。
安心しきった顔で眠る彼の頭をなでて、私も目を閉じた。