俺様ドクターに捕獲されました
「俺は、お前しかいらない。だから里衣子、俺と結婚してくれ」
けっ……こん……。結婚!?
彼が、驚きのあまり目を見開いたまま固まる私の左手を掴んで、薬指にキスを落とす。
それから、胸ポケットからキラキラと輝く大きなダイヤモンドのついた指輪をそこにはめた。
「嫌とは言わせないからな。もう充分待った。だから、俺と結婚しろ」
もう、やっぱり決定事項なんじゃない。彼らしいその言葉に、泣き笑いしながら彼に抱きついた。
「うん。優ちゃんが望む限り、そばにいる」
「なら、一生だな。やっと捕まえたんだ。もう、絶対に離さない」
ぎゅうっと私を抱きしめた彼の逞しい腕の中で、幸せを噛みしめる。だが、次の瞬間、彼が発した言葉にまたも私は固まってしまった。
「よし、そうと決まったら今から婚姻届出しに行くか」
「ええ?」
嘘でしょ。い、今から?
言葉も出ない私を、彼が腕を掴んで立ち上がらせる。そのまま玄関に向かおうとする彼を、慌てて引き止めた。
「ちょ、ちょっと待って。嘘でしょ? ほら、いろいろ段階を踏まないと。両親への挨拶とか」