俺様ドクターに捕獲されました
「ああ、それは問題ない。うちの親もりいの親も、俺とお前が結婚するのを今か今かと待ってるから。見ろ、これ。ちゃんと証人のところに両家の親の名前入ってるだろ。まあ、電話だけいれとくか」
バッと婚姻届を見せられて面食らう。そこには、本当にうちの父親とおじさんの名前が書いてある。
あとは、私が記入すればOKな状態の婚姻届と、電話をかけ始めた彼の顔を交互に見つめる。
そういえば彼と一緒に暮らし始めたときも、うちの親、全然反対してなかった。むしろ、「優くんをこんなに待たせて」って私が怒られた。
あれって、こういう意味だったのか。そう思いながら、電話をかけている彼の横顔を見つめる。
私、結婚するの? なんだか、いきなりすぎて全然実感が湧かない。
「うん、そう。もう次は顔合わせでいいだろ。……うるせぇな、もう切るぞ」
両方の親に電話したにも関わらず、ものの五分で通話を終えた彼が満面の笑顔で私を振り返る。
「りいの親もうちの親もめちゃくちゃ喜んでたぞ。これでいいな?」
「……うん」
そんなにうれしそうな顔をされたら、嫌なんて言えない。というより、私も決して嫌ではないのだ。
小さい頃は、密かに彼との結婚を夢見ていたのだから。その夢が叶うのが、うれしくないはずがない。