俺様ドクターに捕獲されました
そして、その寝顔にも疲労が色濃く滲んでいるのを見れば、さすがに可哀想になってきてしまう。
何度言ってもやめてくれないので、仕方なく私が折れて彼のベッドで眠ることにしたのだ。どデカイ、キングサイズのベッドなら布団からはみ出すことこともなく、疲れのとれ方も違うはず。
別に変なことをされるわけではないし、ただ同じベッドで眠っているだけなんだけど……。
目が覚めると必ず抱きしめられていて、目の前にどアップの寝顔があるのが少し心臓に悪い。これが少し困っていることだ。
無防備な寝顔に疲労が浮かんでいるのを見ると、逃げ出したいほど恐れている対象なのに、なにかしてあげたいという気持ちが湧き上がる。
だから、彼の「癒して」発言につい素直にうなずいてしまったのだ。
「やけに素直だな。なら、なにしてもらうから」
ニヤニヤと嫌な笑いを向けながらネックレスの鎖を指でいじる彼に、にっこりと営業スマイルを向ける。
「お疲れの宇佐美様には、スペシャルデトックスコースですね」
こんな疲れた顔をした人が、このあいだの足のマッサージくらいで、よくなっているはずがない。この二週間、一度も休んでいないし、顔を見ても疲労が溜まっているのがわかる。
やりがいがあるな、と心の中で張り切る私に、彼は不満そうな顔を向けてくる。