俺様ドクターに捕獲されました
身体の疲れにも、心の疲れにも効くブレンドだ。
グリーン調の中にほのかに香る爽やかな花の香りに我ながらうまく調合できたと満足する。
しばしひとりで香りを楽しんでいると、バサリという音がして、いったいなんの音かと顔を上げる。
そこで目にしたあまりにも衝撃的な光景に、私は目をひん剥いて悲鳴をあげた。
「きゃあああっ! な、なな、な、なに!? なんで、裸なの?」
慌てて目を逸らした私は、落としそうになったビーカーをテーブルに置いて両手で顔を覆った。
顔をあげた先にあったのは、一糸まとわぬ彼の見事な裸体。後ろ姿だったからまだよかったけれど、それでも私の心臓はありえない速さでドクドクと音をたてている。
「あ? だって、全身マッサージしてくれるんだろ?」
「いやいや。だからって全裸になる必要ないから」
「面倒だからいいだろ、このままで」
「絶対ダメ! お願い、お願いだからパンツ穿いてください」
土下座をして切実にお願いする私の視界に、彼の足が映る。あ、いい感じに血行がよくなってる。
早く施術を始めたいところだが、今、顔を上げたら見てはいけないものと「こんにちは」だ。