俺様ドクターに捕獲されました
「俺は、お前に嘘を言ったことなんて一度もない。全部、本気だ」
射抜くような視線に、どうしていいかわからなくなって、目の前にある足に目を向ける。
「……痛かったら、言ってくださいね」
私が今するべきことは、仕事ばかりで自分をかえりみないこの人の身体を癒すことだ。
まだまだ未熟ではあるが、セラピストとしての腕だけが、私の誇れるものなんだから。
それが体のいい言い訳だとわかっていても、今の私には彼の言葉を素直に受け止めることも、自分の気持ちを伝えることもできない。
施術に入った私に、彼は小さくため息をついただけで、なにも聞いてはこなかった。
足の裏をほぐし終えて、今度はうつ伏せになってもらう。
うわ、リンパの詰まりがすごい。ゴリゴリいってる。本当にほぐしがいのある身体だな。
「……りい」
「ひゃあっ!」
夢中になってゴリゴリのリンパを流していた私は、寝ていると思っていた彼からいきなり声をかけられて飛び上がった。
「なんだよ、そんなに驚いて。本当、失礼だな」
「ご、ごめん。寝てると思ってたから。なに?」
「りい、看護師の免許はとったんだよな?」
「う、うん」
「りいに頼みがある。明日、俺と実家の病院に来てくれ」
「え?」