彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
〈あんたは、瑞希お兄ちゃんの姿を見ないで死ぬの。瑞希お兄ちゃんはあんたがもがき苦しむ姿を見ながら絶望するのよ!苦痛に歪む顔を見てるだけなんだから!!あーははははははははは!!〉
「っ・・・・僕は・・・・・ゆがまない・・・・!!
この世で一番ゆがんでる女は、渕上ルノアだけだと思っていたけど・・・
(同類が・・・・それ以上がいるとは・・・・!)
よりによって、こんな時に、あの憎らしいいじめっ子のことを思い出すなんて。
そう思ったらおかしくなった。
自分でもわからないくらい笑いそうになる。
表情に―――――――――笑みが浮かぶ。
「あいにく、あんたのリクエストは受け付けない。」
〈あはははははは!あと何秒、そう言ってられるかしら!?〉
煙で見えなくなり始めたスピーカーに向かって告げる。
「見てる人の気持ちになれば、笑顔しか用意できない・・・・!!」
そう言ったら、女の笑い声が止まる。
〈陽翔の真似をしないで。〉
「ゴホゴホ・・・・え?」
突然声の調子が変わり、拍子抜けする。
その理由は、瑞希お兄ちゃん達の会話で判明する。
〈今のセリフ・・・〉
〈え、ええ・・・・はるとちゃんが、アキちゃんによく言ってたセリフじゃない・・・〉
(え!?)
モニカちゃんの言葉にギョッとする。
(伊吹陽翔も、同じことを言っていたの!?)
〈喧嘩した後、どんなにボロボロになろうが笑っている陽翔を、アキナが責めるたびに言ってたのろけ話じゃないか・・・・〉
〈瑞希!凛助に教えたんか!?〉
〈・・・・・・・言えるわけないだろう・・・・・・・・・!?〉
そうつぶやく声は、ひどく悲しいものだった。
〈真似じゃねぇよ・・・・・アキナ・・・・〉
その後で、消え入りそうな声で瑞希お兄ちゃんは告げる。
〈凛も陽翔も、似たもん同士なんだよ・・・・・〉
「な!?僕と伊吹陽翔さんが・・・・!?」
〈ああ・・・それで、同じ言葉がつむげるんだ。〉
〈やめて!!〉
俺の言葉をアキナが制す。
〈もういい!〉
〈アキナ。〉
〈もういいから!!〉
やけを起こしたように叫ぶ伊吹陽翔の恋人。
〈アキナ・・・・〉
〈・・・・・言ったわよね、凛道蓮。〉
瑞希お兄ちゃんの呼びかけに応じることなく、私の名を呼ぶ。
その声はひどく静かで、穏やかな声のまま、九條アキナはしゃべる。