彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
(凛は、俺が傷つかない考え方しかできない――――――――だから・・・・)
〈やめません。〉
俺を傷つける相手に・・・・
〈この人は、わかってないんです。〉
(容赦しないんだ・・・!)
〈何がわからないというの!?〉
キレるアキナに、淡々とした口調で凛は告げる。
〈運命を狂わされたというアキナさんは、今度は自分が人の運命を狂わせる側に立ってるということをです。九條なだけに、苦情も酷いですね~そんなに、伊吹陽翔さんに嫌われたいですか?〉
(あの馬鹿!!)
〈なによそれ・・・・〉
アキナの声がかすれる。
彼女が泣く前のくせ。
最悪なキレ方をする時の合図だと、陽翔も言っていたというのに――――――――
〈あんた・・・あと5分もしないうちに死ぬのよ。〉
〈一酸化炭素中毒でしょう?〉
どうしてだ、凛?
〈煙の量を減らして、焼き殺してやることもできるのよ?〉
〈それは無駄です。もう、俺の意識はなくなりつつある・・・〉
どうして自分の死をそんなに簡単に―――――
「冗談だろう、凛!?」
(他人事のように、自分のピンチを語れるんだっ!?)
血の気の引く体で聞けば、視線を画面からそらしながら言う。
〈本当です、瑞希お兄ちゃん。かわいそうな人だ・・・九條アキナさん・・・・〉
どこか1点を見つめながら凛は言う。
〈アキナさん、あなたがしゃべればしゃべるほど、伊吹陽翔さんはけがれていく。真田瑞希さんへの苦痛を誓えば誓うほど、伊吹陽翔さんの魂はあなたから離れて行く。〉
〈ふざけるな!宗方烈司じゃあるまいし!なにがわかるの!?〉
〈わかるよ。アキナさん、どうしてわからないの?ああ、そうか。〉
激怒するアキナに、一切瞬きをしない無表情で、棒読み口調で凛は言い放った。