彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
〈アキナさん、龍星軍の総長じゃないから、伊吹陽翔さんの気持ち、わからないんだよ。理解するためにも、なればいいのに。〉
〈な、なに言ってるの!?なれるわけが―――――――〉
〈そうだよ。選ばれた人しかなれないんだ。覚悟を決めたものしかなれない。アキナさんがなれるわけないし、慣れない人に総長の座にいる伊吹陽翔さんの気持ちなんてわかるわけないんです。〉
(こいつ・・・・)
〈かわいそうだね、アキナさんって。伊吹陽翔さんの女にはがっかりだ。〉
〈あんたは―――――――――・・・!!?〉
(キレてるのか・・・?)
表情を変えないどころか、あんな煙の中で、瞬き一つしやがらねぇ。
冷たい声で、どこか無邪気にしゃべる凛にゾクッとする。
(恐怖じゃない・・・・そそられるような妙な気分になる。)
楽しそうに意地悪く微笑む姿に、昔の血が騒ぐような不思議な気分になったのだが――――――
〈なんなのよ!!自分が死にかけてる時までかっこつけてるの!?まだ助かるとでも思ってるの!?消防車なんて来ないわよ!〉
その言葉で気づく。
消防車を呼んでいたとしても、間に合いそうにない。
携帯をにぎりしめ、イライラしている伊織と烈司が視界に映る。
2人して、呼んでくれたらしいが――――――――
〈黙れって、俺言ったよな、アキナ?伊吹陽翔の品が下がる。〉
〈やめろ凛っ!!〉
これ以上の挑発はやめろ。
「アキナを傷つけるな!!マジで殺されてぇーのか!?」
そうなったら俺は――――――――――――
「僕は死なないよ。」
〈凛!?〉
俺の言葉を真っ向から否定する可愛い弟。
「大切な人と約束したから、死なない。」
その言葉に合わせるように、視線を画面へと戻す凛。
煙にまかれ、本来なら、むせていてもおかしくないのに、平気な顔でニッコリと笑う。
まるで、俺を見ながら言っているような言葉と視線にドキッとする。
意識しすぎかとも思ったけど、次の言葉でそれが正しいのかどうかわかった。