彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「ズルいな、お兄ちゃん達!私に隠れて、女子会ならぬ、男子会したのね!?」
プリプリ起こりながら、私に覆いかぶさっている人を見上げる。
お酒のにおいで薄くなっているけど、いつもの瑞希お兄ちゃんのにおいがする。
長いまつ毛に、リップをつけているようなピンクの唇。
白い肌は、アルコールによって桃色に染まっていた。
「スース―・・・・凛・・・・」
(また、名前呼んでくれた・・・・)
「どんな夢、見てるんだろう・・・・?」
少なくとも、私は出てきているよね?
(名前呼んでくれてるんだもん♪)
ウキウキしながら、そっと彼の背中に腕を回す。
それでも起きる気配はなく、抱き枕みたいにギュッと抱き付いた。
その瞬間。
「オラッ!!」
「あう!?」
突然、私を突き飛ばすと、見事な寝技で、スリーパーホールドをかけてきた好きな人。
「ちょ、くるし、苦しい!お兄ちゃーん!?」
「田渕・・・・!くたばれ・・・・!!」
「誰がストーカー組長です!?」
〔★とんでもない夢のようだ★〕
「また俺の凛をいじめやがって・・・・!ガチのガチで許さん・・・!」
「う、嬉しい発言ですが、これはつらい・・・・!!」
気を失いかけ、必死で私の首を絞めている手を叩く。
「タンマ!ギブです!ギブギブギブアップ!!てか、僕は田渕じゃありませーん!!」
「―――――――――ごちゃごちゃうるせぇ!」
ポーン!
「あーれー!?」
ボーリングの玉のように布団からはじき出される。
ころころと転がって、うつ伏せに座り込む。
「な、なんで・・・!?」
「うーん・・・・凛、しっかりしろ!誰にやられたんだ!?ムニャムニャ・・・」
「あなたですよ・・・・」
〔★凛を思ってやったことだ★〕
ツッコミを入れてみるが、返事が返ってくるはずもない。
しばらくボー然と、爆睡する瑞希お兄ちゃんを見る。
「やれやれ・・・・」
これがちゃんとした男女だったら、ラッキーなラブイベントが続くはずなんだけどなぁ~
〔★世の中そんなに甘くない★〕