彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
館内はとても静かだった。
時間が時間なので、人の姿もほとんどないと思われたのだが―――――――
「あ、すみません!ちょっといいですか?」
「は、はい!?」
突然背後から声がかかる。
ビクッとしながら、こわごわ振り返る。
「あーやっぱり、子供じゃない?」
「僕、中学生?」
「こんな時間まで夜更かしはダメだぞ~?」
「・・・・へ?」
いたのは少し年上のお姉さん達。
〔★凛はお姉様の集団に遭遇した★〕
「夜ふかしって・・・・コラーゲンが作られる貴重な時間に起きていらっしゃるみなさんもどうかと思いますよ?」
「コラーゲ・・・ぷっ!あはははは!よく知ってるね~?」
「言うことませてる~」
「性格もめっちゃ可愛いんだけど~?」
(性格もって・・・・)
男の子設定で頑張ってる私に、その言い方はないんじゃないの?
(なんなのこの人達?)
ムッとしたけど、大人な対応で聞いた。
「あ、あの・・・用があって呼び止めたんじゃないんですか・・・?」
「あ、そうだった、ごめんね!」
そう言ったのは、最初に私に声をかけてきたお姉さん。
フワフワ髪の人。
「坊や、ここに泊まってる子だよね?」
「そうですが?」
「じゃあさ、ここの温泉って何時から始まるかわかる?」
「え?始まる?」
「そう!今女子会してたんだけど、急に入りたくなってね~」
(だったらスタッフに聞きなさいよ・・・)
と言ってやりたかったけど、
「そしたら、坊やを見つけてね。声かけちゃったんだ♪」
(そういうことなら・・・仕方ないか・・・・)
見つかった自分の運の悪さを、心の中でなげきつつも教えた。