彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
「お風呂、いろいろ種類があるけど、名物は濁り湯なんだよね~」
瑞希お兄ちゃんお勧めは、すり傷、打撲、切り傷に良く聞くという濁り湯が良いと言っていた。
(凛には絶対に入ってほしかったなんて言ってたもんね~)
〔★瑞希の優しさが、わかる言葉だ★〕
目的の濁り湯は、温泉の中心部にあった。
ごつごつした岩が突起しているでこぼこの浴槽。
「わーい♪完全貸しきりバンザーイ!」
フェイスタオルを頭に乗せ、肩までつかりながらお風呂を満喫する。
一緒に持って入ったサラシは、バスタオルでくるんで、たらいに入れて、いつでも取れる場所に置いた。
岩と岩の間に隠した。
「瑞希お兄ちゃんのお勧めが、一番気持ちイイ~」
いろいろ入ってみたけど、濁り湯が一番良い。
「はぁ~月も綺麗だし、最高。」
両手を伸ばせば届きそうなぐらいのキレイなお月さま。
「明日は忍者屋敷でチャンバラかぁ~楽しそう~」
(そこで瑞希お兄ちゃんとの親密度が上がれば、いいんだけどね~)
満月に勝るぐらいの瑞希お兄ちゃんの笑顔が浮かぶ。
その時だった。
ピーピーピー!
「あ。」
無線機がなる。
「はいはい――――――――――もしもし?」
《凛道様でございますか?》
「あ、女将さん!」
《湯加減はいかがでございますか?》
「もう最高です!さすが、名旅館の温泉です!」
《ありがとうございます。ご満足頂けたようでありがたいです。》
「そんなこちらこそ、特別扱いしてもらって申し訳ないんですよ!ジュースまですみません。」
《あの、そのことなんですが・・・・》
穏やかだった女将の口調が変わる。
《脱衣所へ置くとのことでしたが、直接温泉の方にお持ちすることになりまして。》
「いい!?な、なぜです!?」
それで、首までお風呂に体を沈めながら聞き返す。