彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
ショックを受けたけど、否定したくて次の言葉をつむぐ。
「だ、だけど、女将さん、特別なお風呂に案内するって言ってくれましたよ!?」
「あの女将さんがか?」
「イオリン。」
「ふむ・・・」
キョトンとする瑞希お兄ちゃんと、困った顔で獅子島さんを呼ぶモニカちゃん。
これに無表情で、獅子島さんは言った。
「凛道・・・おそらくお前は、勘違いをしている。」
「勘違い!?」
「ここの女将がみずから、露天風呂まで客を案内するのは、まずはないサービスだ。それに加え、ドリンクまでサービスすると伝えてきたんじゃないか?」
「そ、そうですが・・・」
「『それら』が特別だ。」
「そういう特別だったんですか!?」
つまり、完全なる私の誤解!?
〔★凛の勘違いも確定だ★〕
(うわあああああああああああ!完全にミスった!!)
男湯に入るなんて!
こんなことなら、アメニティーグッズをパッと見じゃなくて、しっかりみてればよかったよぉおぉぉ!!
(子供の時、お父さんと一緒に入った記憶がぼんやりあるけど、15歳が入るのはアウトでしょう!?)
〔★犯罪の香りがしてきた★〕
「どうした、凛?汗がすげーぞ!?」
「気づいてやろうぜ、瑞希~」
「おそらく、自分の勘違いを恥じているんだろう、凛道は。」
「てか、凛ちゃんいつからお風呂に入ってるの?もしかして、のぼせたんじゃないの?」
「わははは!それじゃあ、俺様が投げ出してやる!!
「ひい!?それだけはごかんべん!!」
「うお!?」
瑞希兄ちゃんの両肩をつかみ、背中に胸が当たらないように気をつけながら百鬼から身を隠す。