彼は高嶺のヤンキー様4(元ヤン)
他の4人を見た時に叫ぶこともなく、変な気持ちになることなく、不思議とあったかい気持ちになる。
「じゃ、あとでな?」
手荒れした手が伸びてきて、私の頭をなでる。
そしてそのまま、頭に乗せていた私のタオルをつかむと、それで私の顔を軽くふく。
「のぼせるんじゃないぞ?」
そう言い終わった時、顔を拭いてくださったフェイスタオルは私の頭に戻っていた。
「みーちゃん、前、隠しなさいよ。」
「これから隠すんだよ、ボケ。」
「わはははは!後ろも隠さなきゃダメだろう!?男にしちゃいいケツだろうー!?」
「張り倒すぞ皇助!?」
「いいから、凛たんのためにも出ようぜ。」
「やれやれ・・・」
そんな会話を仲間とかわしながら、私に背を向ける好きな人。
背中から腰までの曲線美を美しいと思い、引き締まったお尻から下をキレイだと思う。
それがタオルで隠れた時、やっと我に返れた。
「み、瑞希お兄・・・・!」
何を言おうとしたのか、自分でもわからない。
ただ、彼の名前を呼ぼうとして視界がぼやける。
「あれ・・・・?」
「凛?」
(瑞希お兄ちゃんが2人いる・・・?)
そう思った時、フッと意識が遠のく。
体が前のめりになる。
ザッバーン!!
「凛っ!!?」
熱い・・・気持ち悪い・・・苦しい・・・息が・・・
「凛たん!?」
「凛ちゃん!?」
「凛道!」
「凛助ぇ!!」
「り―――――――――んっ!!?」
ザバン!!
お湯の中に沈む身体。
濁り湯だから何も見えない。
何も見えないはずなのに。
見えないはずだったのに―――――――
「凛!!しっかりしろ!!」
ザブンッ!!
肩を抱かれ、太ももに手を回される。
筋肉質の細い腕の感覚。
「り、凛!凛!しっかりしろ!」
「あ・・・・!?」
その声で一気に意識が戻る。
「なんだなんだ!?どうしたんだ!?」
「のぼせたんだ!」
「モニカ、冷たいタオルだ!」
「わかってるわよ!」
「大丈夫か、凛!?」
(ああああああああ・・・・・・)
私どうなったの?
(体・・・・胸見られたっ!?)
ボーとする頭で、何とか体を動かす。
両手で両胸をギュッと覆う。
そして気づく。
今の自分の体勢に。