契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
忍がシャワーから上がってくると、いちばんに目に入ったのはダイニングテーブルの上だ。
水が入ったコップの横に夜の分の薬が綺麗に並べられている。
忍はテーブルに歩み寄ると、薬をひとつ拾い上げ笑いを零した。
「本当に几帳面だな。そういや、客として行ったときも、やたら丁寧に商品を扱っていたのが印象的だった」
首にタオルをかけ、上半身は裸の忍は手のひらの薬に視線を落とし、初めて会ったときの鈴音を思い出す。
鈴音は忍の半裸姿に顔を背け、耳だけ傾けていた。
「ああいう何気ないところで、人の本質は見えるよな」
あのとき、こんなことになるとは忍も思ってもいなかった。ただ、接客が好印象の鈴音に乗せられて、本来の目的以外のものも購入したことは事実だった。
鈴音はそんなふうに見られていただなんて思いもしなくて、どんな顔をしていいのかわからない。きっと褒めてくれているんだろうと思えば思うほど、動悸が止まず、頬が赤くなる。
「あの、塗り薬も忘れずに……」
鈴音は耐え切れなくて話題を変えた。ソファから立ち上がり、処方された薬の袋から塗り薬を取り出す。
「ああ。治るまで結構面倒だな」
面倒事を嫌う忍だ。まだ怪我をして丸一日しか経っていないのに辟易として言う。
鈴音は一歩忍に近付いて、ぼそりと呟くように窺う。
「……包帯巻くの、お手伝いしましょうか?」
下心なんかない。どちらかと言えば、責任感で口から出た言葉のはずだった。
それなのに、鈴音の心臓はなぜか早鐘を打つ。
(意識したところで、断られるのがオチじゃない。好きでもない女に触られるのも嫌だろうし)
結果は見えていると思っていたところに、意外な言葉が落ちてくる。
「鈴音なら器用に巻きそうだな。じゃあ、あとで頼む」
どうして受け入れるのだろうかと忍へ驚きの目を向ける。
利害一致の契約しただけなのだから、線を引いて距離を保てばいい。
今も、罪滅ぼしをさせるだけの気持ちで承諾するには言葉が優しすぎる。
鈴音は複雑な心境のまま、新しい包帯を用意していた。
水が入ったコップの横に夜の分の薬が綺麗に並べられている。
忍はテーブルに歩み寄ると、薬をひとつ拾い上げ笑いを零した。
「本当に几帳面だな。そういや、客として行ったときも、やたら丁寧に商品を扱っていたのが印象的だった」
首にタオルをかけ、上半身は裸の忍は手のひらの薬に視線を落とし、初めて会ったときの鈴音を思い出す。
鈴音は忍の半裸姿に顔を背け、耳だけ傾けていた。
「ああいう何気ないところで、人の本質は見えるよな」
あのとき、こんなことになるとは忍も思ってもいなかった。ただ、接客が好印象の鈴音に乗せられて、本来の目的以外のものも購入したことは事実だった。
鈴音はそんなふうに見られていただなんて思いもしなくて、どんな顔をしていいのかわからない。きっと褒めてくれているんだろうと思えば思うほど、動悸が止まず、頬が赤くなる。
「あの、塗り薬も忘れずに……」
鈴音は耐え切れなくて話題を変えた。ソファから立ち上がり、処方された薬の袋から塗り薬を取り出す。
「ああ。治るまで結構面倒だな」
面倒事を嫌う忍だ。まだ怪我をして丸一日しか経っていないのに辟易として言う。
鈴音は一歩忍に近付いて、ぼそりと呟くように窺う。
「……包帯巻くの、お手伝いしましょうか?」
下心なんかない。どちらかと言えば、責任感で口から出た言葉のはずだった。
それなのに、鈴音の心臓はなぜか早鐘を打つ。
(意識したところで、断られるのがオチじゃない。好きでもない女に触られるのも嫌だろうし)
結果は見えていると思っていたところに、意外な言葉が落ちてくる。
「鈴音なら器用に巻きそうだな。じゃあ、あとで頼む」
どうして受け入れるのだろうかと忍へ驚きの目を向ける。
利害一致の契約しただけなのだから、線を引いて距離を保てばいい。
今も、罪滅ぼしをさせるだけの気持ちで承諾するには言葉が優しすぎる。
鈴音は複雑な心境のまま、新しい包帯を用意していた。