契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
「……嫌いじゃない」
いつもとは違うぼそりとした話し方に、鈴音はきょとんとする。
顔を逸らした忍を見て、彼の言葉の意図を想像し、顔が綻んだ。
鈴音はまっすぐ顔を向け、朗らかに笑った。そして、指を遊ばせながら自分の話をする。
「私も今の自分の仕事、嫌いじゃないです。お客様が満足そうに帰られると、私も満たされた気分になるんです。まあ、私はただ販売しているだけですけれどね」
商品の企画・開発から商品販売に至るまで、すべてに関わっているであろう忍を前にしたら、大したことなどしていない。
そうはわかっているけれど、忍の仕事に対する思いにほんの少し触れて、自分のことも伝えたくなった。
ただ言いたくなっただけ。
それなのに、忍から思わぬ反応を返される。
「そんなことはないだろう。オレはうちの社員でもあるBA(ビューティーアドバイザー)を評価している。彼女たちなしには会社は成り立たない。だから鈴音も同じ。きみは必要な存在だ」
逸らされていた目が、いつの間にか鈴音を捕えている。
精悍な瞳は、経営者側のしっかりした意思を感じられる。
さらに、社員(ひと)を思う心や大人の色気など、美しい双眸には色々な魅力が詰まっていて目が離せない。
それだけではない。
鈴音は、最後に言われたひとことが頭の中でずっと繰り返されていた。
――『きみは必要な存在だ』
いつもとは違うぼそりとした話し方に、鈴音はきょとんとする。
顔を逸らした忍を見て、彼の言葉の意図を想像し、顔が綻んだ。
鈴音はまっすぐ顔を向け、朗らかに笑った。そして、指を遊ばせながら自分の話をする。
「私も今の自分の仕事、嫌いじゃないです。お客様が満足そうに帰られると、私も満たされた気分になるんです。まあ、私はただ販売しているだけですけれどね」
商品の企画・開発から商品販売に至るまで、すべてに関わっているであろう忍を前にしたら、大したことなどしていない。
そうはわかっているけれど、忍の仕事に対する思いにほんの少し触れて、自分のことも伝えたくなった。
ただ言いたくなっただけ。
それなのに、忍から思わぬ反応を返される。
「そんなことはないだろう。オレはうちの社員でもあるBA(ビューティーアドバイザー)を評価している。彼女たちなしには会社は成り立たない。だから鈴音も同じ。きみは必要な存在だ」
逸らされていた目が、いつの間にか鈴音を捕えている。
精悍な瞳は、経営者側のしっかりした意思を感じられる。
さらに、社員(ひと)を思う心や大人の色気など、美しい双眸には色々な魅力が詰まっていて目が離せない。
それだけではない。
鈴音は、最後に言われたひとことが頭の中でずっと繰り返されていた。
――『きみは必要な存在だ』