契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
(そういえば、雑誌がどうのって一緒にいた男の人が言っていた。その雑誌のモデルとか、そういうことだったの?)
唖然として瞳を揺らしていると、柳多は淡々と続ける。
「あの人は、商品については一切興味はないけれど、宣伝だけにはこだわる。まあ、言っても、斬新さとかそういうことではなく、ただお金を積んで売れてる女優やモデルを起用するだけだけど」
その言い方は、明らかに険を含んでいた。
皮肉めいた笑みは、柳多の柔らかな印象とのギャップから冷徹に感じ、背筋が凍った。
鈴音の心境を知ってか知らずか、柳多はふっといつもと同じ、親しみやすい雰囲気に戻った。
「商品なんて、どれも同じ。ローレンスという名前と、人気女優さえいれば安泰だと思っているんだろう」
嘲笑する柳多を見て、鈴音がやっと声を出す。
「でも、忍さんはそうじゃないと思います」
いくら親子で、社長の片腕でもある立ち位置にいるとしても、忍がそんなふうに仕事をしているだなんて思われるのは心外だった。
鈴音はついこの間、仕事の話をしていた忍の表情を思い出し、『絶対に違う』と思った。
鈴音の鋭い視線を浴び、柳多は一驚する。しかしすぐに穏やかに目じりを下げると、頬を緩ませた。
「もちろん。副社長は違う。彼は心からローレンスの商品を愛し、プライドを持っているよ」
柳多の反応に心から安堵する。
身近な存在であろう柳多が、もしも光吉と同じだという目で忍を見ていたなら居た堪れないと感じた。
鈴音は安心したと同時に、光吉の方針に不満を抱く。
「だけど、もしも本当にそんな話がきても、私はお断りします」
詳しいことはわからないけれど、柳多の話を聞く限りでは到底光吉を支持できるような気持にはならないからだ。
どこか憤慨したようにも見える鈴音を前に、柳多は頬杖をついてニッと笑みを浮かべる。
「副社長が頼んでも?」
「えっ?」
突然言われたことに、鈴音はすぐに答えられなかった。
光吉の意向となれば即答で断るのに、同じ内容で忍が言うとなれば別なのだと痛感した。
柳多は鈴音が狼狽える様を優雅に観察し、数秒後に「ぷっ」と吹き出す。
「冗談。彼からはそんな話は聞いてないよ。ただ、鈴音ちゃんはどれだけ彼に従順になるのかなと思って」
鈴音は意地悪にくすくすと笑う柳多をじとっと睨み、ぼそりと反論した。
「犬みたいに言わないで。私だって、拒否することもあります」
「これは失礼」
柳多は再びグラスを手に持って終始笑っていた。
唖然として瞳を揺らしていると、柳多は淡々と続ける。
「あの人は、商品については一切興味はないけれど、宣伝だけにはこだわる。まあ、言っても、斬新さとかそういうことではなく、ただお金を積んで売れてる女優やモデルを起用するだけだけど」
その言い方は、明らかに険を含んでいた。
皮肉めいた笑みは、柳多の柔らかな印象とのギャップから冷徹に感じ、背筋が凍った。
鈴音の心境を知ってか知らずか、柳多はふっといつもと同じ、親しみやすい雰囲気に戻った。
「商品なんて、どれも同じ。ローレンスという名前と、人気女優さえいれば安泰だと思っているんだろう」
嘲笑する柳多を見て、鈴音がやっと声を出す。
「でも、忍さんはそうじゃないと思います」
いくら親子で、社長の片腕でもある立ち位置にいるとしても、忍がそんなふうに仕事をしているだなんて思われるのは心外だった。
鈴音はついこの間、仕事の話をしていた忍の表情を思い出し、『絶対に違う』と思った。
鈴音の鋭い視線を浴び、柳多は一驚する。しかしすぐに穏やかに目じりを下げると、頬を緩ませた。
「もちろん。副社長は違う。彼は心からローレンスの商品を愛し、プライドを持っているよ」
柳多の反応に心から安堵する。
身近な存在であろう柳多が、もしも光吉と同じだという目で忍を見ていたなら居た堪れないと感じた。
鈴音は安心したと同時に、光吉の方針に不満を抱く。
「だけど、もしも本当にそんな話がきても、私はお断りします」
詳しいことはわからないけれど、柳多の話を聞く限りでは到底光吉を支持できるような気持にはならないからだ。
どこか憤慨したようにも見える鈴音を前に、柳多は頬杖をついてニッと笑みを浮かべる。
「副社長が頼んでも?」
「えっ?」
突然言われたことに、鈴音はすぐに答えられなかった。
光吉の意向となれば即答で断るのに、同じ内容で忍が言うとなれば別なのだと痛感した。
柳多は鈴音が狼狽える様を優雅に観察し、数秒後に「ぷっ」と吹き出す。
「冗談。彼からはそんな話は聞いてないよ。ただ、鈴音ちゃんはどれだけ彼に従順になるのかなと思って」
鈴音は意地悪にくすくすと笑う柳多をじとっと睨み、ぼそりと反論した。
「犬みたいに言わないで。私だって、拒否することもあります」
「これは失礼」
柳多は再びグラスを手に持って終始笑っていた。