契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
鈴音がローレンスの口紅を購入したのはネットショッピングでだった。
なんとなく、こういったショップは敷居が高い気がして、気軽に買えるネットを利用した。
勇気を出して立ち寄ってみたが、やはり場違いな気がして委縮する。
特に目的のものがあったわけではない手前、堂々と商品を見ることができないし、この場をどうしていいのかわからなくなる。
鈴音がチラッと目を向けると、美容部員はにっこりと柔らかく笑った。
「お客様、とても肌がお綺麗ですね。化粧乗りも良さそうです」
「え? いや、そんなことは……」
「もしよろしければ、私に少しメイクをさせていただけませんか?」
鈴音はなんとなく雰囲気にのまれ、奥の椅子までついていってしまう。
ニコニコ顔の美容部員を前になんて言って断ればいいのか戸惑っているうちに、促されるまま席に腰を下ろした。
「ちょうど口紅の限定商品がございますよ」
いそいそとメイク道具を用意しているときに、ようやく意を決して告白する。
「……ごめんなさい。私、本当は口紅を持っていて、今は必要ないんです」
冷やかしのつもりで入ったわけじゃない。けれど、どうにもばつが悪くて目を合わせられない。
鈴音が膝の上で拳を作り、視線を落としていると美容部員が朗らかに言った。
「そうなんですか。こちらこそ失礼しました。口紅を見てくださっていたので、つい」
いい人そうな相手だから余計に申し訳なくなる。
言ってしまえば、買う気もない客を相手にする時間ははっきりいって無駄だろう。
鈴音はそれを自覚しているから、平身低頭して返した。
「本当にすみません。なので、メイクしていただくのは……」
「どうぞお気になさらずに。実は、私がお客様にメイクをしたいと純粋に思っただけなんです。きっと新作の口紅がお似合いです」
その女性の満面の笑みを見ると、鈴音はなにも言えなくなる。
黙って椅子に留まる鈴音に、彼女はうれしそうに微笑みかけた。
なんとなく、こういったショップは敷居が高い気がして、気軽に買えるネットを利用した。
勇気を出して立ち寄ってみたが、やはり場違いな気がして委縮する。
特に目的のものがあったわけではない手前、堂々と商品を見ることができないし、この場をどうしていいのかわからなくなる。
鈴音がチラッと目を向けると、美容部員はにっこりと柔らかく笑った。
「お客様、とても肌がお綺麗ですね。化粧乗りも良さそうです」
「え? いや、そんなことは……」
「もしよろしければ、私に少しメイクをさせていただけませんか?」
鈴音はなんとなく雰囲気にのまれ、奥の椅子までついていってしまう。
ニコニコ顔の美容部員を前になんて言って断ればいいのか戸惑っているうちに、促されるまま席に腰を下ろした。
「ちょうど口紅の限定商品がございますよ」
いそいそとメイク道具を用意しているときに、ようやく意を決して告白する。
「……ごめんなさい。私、本当は口紅を持っていて、今は必要ないんです」
冷やかしのつもりで入ったわけじゃない。けれど、どうにもばつが悪くて目を合わせられない。
鈴音が膝の上で拳を作り、視線を落としていると美容部員が朗らかに言った。
「そうなんですか。こちらこそ失礼しました。口紅を見てくださっていたので、つい」
いい人そうな相手だから余計に申し訳なくなる。
言ってしまえば、買う気もない客を相手にする時間ははっきりいって無駄だろう。
鈴音はそれを自覚しているから、平身低頭して返した。
「本当にすみません。なので、メイクしていただくのは……」
「どうぞお気になさらずに。実は、私がお客様にメイクをしたいと純粋に思っただけなんです。きっと新作の口紅がお似合いです」
その女性の満面の笑みを見ると、鈴音はなにも言えなくなる。
黙って椅子に留まる鈴音に、彼女はうれしそうに微笑みかけた。