契約婚で嫁いだら、愛され妻になりました
美容部員は鈴音の前髪をクリップで留め、タッチアップの準備をする。
鈴音が緊張している間にも、コットンが肌を滑り始める。
鈴音は目を伏せたまま、ぽつりと口にした。
「お仕事……お好きなんですね」
もしかしたら仕事上のセリフだったのかもしれない。けれど、純粋にメイクをしたいと聞いてそう感じた。
「販売は大変ですけれど、メイクするのはとても楽しいですね」
鈴音の言葉に、彼女はチークブラシで頬を撫でながら声を弾ませた。
最後に口紅を塗ってもらうと、差し出された鏡をドキドキしながら受け取った。
美容のプロにメイクを施してもらうことなんて初めてだ。
美意識が高いわけではなくても、興味がないわけではない。
鈴音は期待を胸に、鏡の中を覗き込む。
「うわ」
思わず声が零れた。
ワントーン明るい肌。肌に映えるように入れたチークとアイシャドウがふんわり上品さを醸し出している。
なんとなく苦手意識があって滅多に引かないアイラインも、プロの手にかかれば違和感もなく、魅力的にさえ見える。
「すごい。全体的に潤ってるっていうか」
「元々肌質がいいからだと思います。やっぱり思った通り、コーラルピンクの口紅がお似合いですね」
「こんなに可愛い色なんて、自分じゃ選ばないな」
事実、持っているローレンスの口紅はベージュ系だ。
鈴音は鏡越しに自分の唇を見て失笑する。
「でも、どうですか? すごくぴったりだと思いますけれど」
そう言われて、今一度鏡を見つめる。
「……案外、大丈夫なものですね。ちょっと恥ずかしいですけど」
流されて答えたわけではない。本当に、意外に悪くはないと思ったから肯定した。
「お時間取らせまして、申し訳ありません。ぜひまたお立ち寄りくださいね」
そうして本当にただメイクをしてもらい、見送られた。
鈴音が緊張している間にも、コットンが肌を滑り始める。
鈴音は目を伏せたまま、ぽつりと口にした。
「お仕事……お好きなんですね」
もしかしたら仕事上のセリフだったのかもしれない。けれど、純粋にメイクをしたいと聞いてそう感じた。
「販売は大変ですけれど、メイクするのはとても楽しいですね」
鈴音の言葉に、彼女はチークブラシで頬を撫でながら声を弾ませた。
最後に口紅を塗ってもらうと、差し出された鏡をドキドキしながら受け取った。
美容のプロにメイクを施してもらうことなんて初めてだ。
美意識が高いわけではなくても、興味がないわけではない。
鈴音は期待を胸に、鏡の中を覗き込む。
「うわ」
思わず声が零れた。
ワントーン明るい肌。肌に映えるように入れたチークとアイシャドウがふんわり上品さを醸し出している。
なんとなく苦手意識があって滅多に引かないアイラインも、プロの手にかかれば違和感もなく、魅力的にさえ見える。
「すごい。全体的に潤ってるっていうか」
「元々肌質がいいからだと思います。やっぱり思った通り、コーラルピンクの口紅がお似合いですね」
「こんなに可愛い色なんて、自分じゃ選ばないな」
事実、持っているローレンスの口紅はベージュ系だ。
鈴音は鏡越しに自分の唇を見て失笑する。
「でも、どうですか? すごくぴったりだと思いますけれど」
そう言われて、今一度鏡を見つめる。
「……案外、大丈夫なものですね。ちょっと恥ずかしいですけど」
流されて答えたわけではない。本当に、意外に悪くはないと思ったから肯定した。
「お時間取らせまして、申し訳ありません。ぜひまたお立ち寄りくださいね」
そうして本当にただメイクをしてもらい、見送られた。